■2007年7月23日(月)■1:00〜12:00 ※夏休み時制
今日も元気な双子のYUKAちゃんとAYAKAちゃん. お母さんに連れられてニコニコ笑顔でアトリエに入ってくると、さっそくピアノを弾き始めた.二人とも音楽が大好き.
学校にあまりなじめないYUKAちゃんは、夏休みに入って気持ちが楽なのか、今日はとても落ち着いている.AYAKAちゃんはいつものとおり、大切なぬいぐるみ 白トトロの(ショウちゃん)をつれてきて、いつものようにおどけたり、ときに満面の笑顔をふりまいてくれる.
今日は ミツロウ粘土をやろうときめていた…が、AYAKAちゃんが 最近 過剰に潔癖で、粘土の類はなかなか受け付けないようになってきた.幼稚園からプリズムに通い始めて3年目になるが、小学校1年生くらいまでは 粘土でも取り掛かりに多少の戸惑いはあるものの、やり始めたら最後まで楽しく熱中できていた.しかし2年生になった頃から「べたべたして気持ちわるい」とか「汚いから嫌だ〜」と言い始めた.それも最初は土の粘土だけだったのが、「ミツロウ粘土も嫌だ」と言い始めた.つまり、粘土と名のつくものは全部ダメだ、と、自分で思い込んでいるのだ.ちなみにプリズムで使う粘土は焼き物用の粘土を使用している.油粘土は使わない.
AYAKAちゃんは、もともとお話や読書やごっこ遊びが大好きで、絵を描くのも好きだし、とても良い色彩感覚と筆のタッチをもっているのだけれど、どちらかというと、創作活動よりもファンタジー(=想像)の世界に身をおいていたいタイプ.心根がとてもやさしく、まだ幼いのに人の気持ちをおもんぱかる才能に恵まれていて、幼稚園のころは常にYUKAちゃんをサポートしていた.外側の世界をよく観察し、社交的でもある…が、ゆえに自分自身に無理を課してしまうところもあるのではないかと思う.それで時どき苦しくなってしまって、気のおける人の前ではダダッコ赤ちゃんにかえる.それも必要なのだろうから、赤ちゃんになるときは存分に甘えさせてあげたい.…私には、彼女の気質は憂鬱質と多血質の混合に見える.
一方、対照的なYUKAちゃんは、常に内面の世界に生きている.彼女は、非常に豊かで、確信に満ちた独特な魂の世界をもっている。彼女から時どき出てくる直観的な言葉には、私も「ハッ」とさせられることがある.しかし、外側の社会と折り合いをつけるのが苦手だ.合わないものに無理して協調しようとすると、リバウンドが大きく来てしまう.そのような内側の世界に閉じようとする傾向は、彼女の軽いハンデいキャップから起因するとされているのかもしれないが、私はそうとばかりは言えないとも思う.その証拠に、ここ プリズムでは彼女はとても積極的に活動するし、1年位前から自宅でも絵を描き始めたらしく、時どきスケッチブックを見せてくれるのだが、その模写力や表現力には目を見張るものがある.
YUKAちゃんが、もしも完全に外側の世界に閉じていたら、こんな表現はできないだろう.だからきっと彼女なりのやり方で、世界に向かってちゃんと開いている…そのことさえ解ってあげることができれば、YUKAちゃんに対してどのように接したらいいのか?が、自ずと見えてくるものだ.ともすれば、周囲の大人が自分の在り方を見直さなければならない状況に至ることだってあるやもしれぬ.
さて、二人のクラスは ぬらし絵とフォルメンを中心に、時どき粘土や自然素材を使った手仕事をやっている.もちろんそればかりではなく、クラスにファンタジーの要素を取り入れたくて、お話や即興演劇なども遊びのような感じでよく行う.プリズムでは、毎回、二人ともとても楽しい時間をすごせているようだ.ただ、最近は粘土に関してはATちゃんの抵抗にあい、かと言って、UTちゃんは粘土大好き少女だし、私も粘土は触覚を通して生命力に働きかけるという意味でも、とても必要なワークだと思っているので外せないし…AYAKAちゃんのみ別メニューとなる.
それで、今日は最初に、プリズムの他の生徒が時間をかけて作っている‘みつろう粘土’の人形を見せた.色鮮やかな妖精たち、森のキノコや木の実など、それはそれは愛らしく、二人が「わああかわいい!これ誰が作ったの?」歓喜の声を上げたのは言うまでもない.そして、AYAKAちゃんの中で何かが変わった.「私も作ってみたい!」 作りたいという意欲が自分を縛っていた感覚の抵抗を超えたのだ.こういう瞬間に遭遇するにつけ、それは私にとっても大きな喜びであり、エネルギーの源泉にもなる. 「常に、その子が今いるところから始めよう…」治療教育のこの鉄則の意味を改めて実感する.