■2月4日(月)■15:00〜16:00
TAKUMAくんはコンスタントに情緒が安定しているタイプだ.プリズムではそうだと言える(学校や家庭でもそういうふうだと伺っている).それでも、記憶を交えながらこのように改めて文章に起こしていくと、彼も 幼児期からこれまでの成長の途中には、順当に揺れた時期があったことを思い出す.
まず初めての出会いの時、TAKUMAくんはまだ幼児で、“ゆたか学園”に通っていた.小さくて、弱弱しくて、握力が無いに等しいくらいで筆も握れなかった.お母さんから預かると、いつもエンエン泣いていたっけ…だからたくさん外に連れ出した.プリズムはお絵かき教室なのに変だよね?でも、腰の力をつけることが先決課題だった. 団地の庭は、たくさんの種類の樹木が植えられているうえに広くてアップダウンに富んでいるので、訓練と遊びを兼ねることのできる最高の場所だった.
それから小学部に入り、だんだん体つきもしっかりしてきて、やがて『9才の危機』 を迎えた時は、お母さんもずいぶん困惑していらっしゃった.もちろんプリズムでも大いに反抗してくれて、特に彼の頑固さの前には、私もどうしていいかわからないような時があった.でも同時に、周囲の世界に対する認識力がついてきたことが、その頃の絵の描き方の中に見て取れたのも確かだ.また、中等部の頃の作風にも、認識の拡大を示す変化が顕著に訪れたことを記憶している.
いくつもの成長の節目節目を乗り越えて、今の落ち着いた彼があるのだな〜と、Takumaくんと会話や冗談を交わしながらも、時々感慨深いものがこみ上げて来る.
「長い間服用していた癲癇のお薬を、もう飲まなくてもいいようになったんですよ」と、昨年、Takumaくんのお母さんが嬉しそうにおっしゃった.実は、私はTakumaくんのお母さんはとても偉い人だと思っている(他のプリズムの保護者の皆さんも同様だが).中等部に上がってからアトリエに来る回数は各週(月2回)に変わったが、それまでは毎週(月4回) かかさず通って来られた.お母さんにとっては大変なときもあったかもしれないが、いつも彼の気持ちを尊重なさって、すぐに目に見える結果の出るわけではない(もしかしたら出ないかもしれない)プリズムのような場所に、毎回律儀に通い続けてこられた・・・そのことだけでも賞賛に値すると思う.今、彼の描く水彩画は、いつも絶妙なバランスを伴った驚くほどきれいなものに仕上がっている.