prism‐JYOU 08’1th.2th


■1月 日(日)■13:00〜15:00 
中学3年生のJYOU君は、お母さんと一緒にわざわざ大宰府から通って来ている.月に1回しかできないので、彼の教室は2時間まとめて行っている.JYOU君にはごくごく軽度のハンディキャップがあるが、コミュニケーションや運動の能力が人一倍優れている.一緒に絵を描いていて、彼の心の細やかさや優しさに感心することが多々ある.
JYOU君は、お父さんがお仕事でアメリカに赴かれることが多かったせいか、彼もアメリカの文化やスポーツなどに興味がある.だからいつもアトリエに来ると、まずは『世界ビジュアル事典』の中のアメリカ合衆国、とりわけ北アメリカ編を見ながら、私と一緒にさまざまなことについて話す.例えば、この日はカナダ・アラスカ編を見て、彼はイヌイットの文化に感心しながらも、少し衝撃を受けた様子だった.氷上の暮らしというものがどんなに過酷なものか、しかし( だからこそ?)その中でもたくましく生きている人間というものを、ほんの少し感じられたかもしれない.
すでに第2・7年期に入っているJ君には、もうこのような世界観の広がりも必要だと思うし、その方向性を持続させるためにも「時間と興味を共有し、話し合う相手がいる」ということが、今はとても助けになるのだと思う.
そしてワークでは、今日は大きめの紙に木炭を使って白黒画を描いた.テーマは「洞窟に差し込む光」.
ちょうど先日の1月16日に15才のBirthdayを迎えたというJ君、やはり彼の年齢( 思春期 )の魂の状態にふさわしいテーマなのだろう・・・、それまでひっきりなしだったおしゃべりを止めて、黙々と最後まで集中して描いた.作品としてもなかなかうまくいっている.

      


■2月10日(日)■10:30〜12:30
いつもやさしく穏やかなJYOU君だが、今日は一段と落ち着いていた.元気がないとか不機嫌だとかいうわけではなく、何となくまったりした感じ・・・と言えばいいだろうか.だいたい思春期の子どもたちは、こういう雰囲気をかもし出していることが多い.でももしかしたら、いつもは午後のクラスだが、今日は午前中に変更していたせいもあるかもしれない.・・・そういうわけで、いつもよりもおしゃべりも少なめだったので、すぐにワークに入った.
今日は彼の好きな粘土.プリズムでは陶芸用(唐津焼)の粘土を使う.なぜ油粘土や紙粘土を使わないのか?というと、自然のもので、触り心地がとても良いから.他のワークのときもそうだが、素材から与えられる影響は侮れないと思っている.特に、粘土には触覚を通じて自我の感覚を強めるという作用があるので注意を払いたい.
粘土のワークは、集中するとだんだん寡黙になる場合がある.しかし見かけとは裏腹に、身体感覚は非常に活発に動いている.また、形が自在に変化する素材なので、とても有機的な表現が可能となり、無意識的な感情にも働きかけることができる.その証拠に、粘土のワークはほとんどの子どもたちが大好きだ.
これはアートセラピー・ワークで教えられた手法でもあるが、ワークの中で大切にしていることがある.それは粘土を手にしたとき、すぐに変化させないで、しばらくはただひたすら触ってみるということ.自分の意図を捨てて、粘土のほうからやって来る感覚全てに浸されてみるということ.その後に作るものが、たとえば丸い形だけだとしても、充分に意味のある体験になる.
さて、JYOU君はとてもセンシティブな面があるし、感情もとても豊かなので、手のひら全体を使うのが得意だ.こちらがいろいろ言わなくても、長い間 気持ちよさそうにコロコロコロコロ丸めていき、自分なりに満足してから「何かを作ろう!」というところに入ってきた.私が以前作ったローソクシェードが素敵だと言って、自分でもそれを作ってみることに.両方の手のひらや、指の感覚を研ぎ澄まして、丸い球を少しずつ押していき、だんだんに穴を大きくしながら、均等な薄さにしていく.最初はけっこう難しいので、厚めのお茶碗のようになった.しかし、これはこれでとても味がある.そして2回目、自分でもなかなかうまくいったと満足.穴を開けるのはまた難しいが、何でもチャレンジしてみる.乾いて後に焼成、完成が楽しみだ.

    
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